2007年8月5日日曜日

船は大きく縦にゆれて、桟橋に着いた。桟橋の木版、かろうじて朽ち果てることなく、島の住人の往来を深い海の下から支えていた。ゆっくりと歩くと、波のリズムと歩調ががあう。港には寂れた灰色の打ちっぱなしの四角い小さな建物が見当たるだけで、他には何も建物らしき物はなかった。
この島で、しばらく暮らす事になるのこかと思うとげんなりしたが、潮の風を肺いっぱいに吸い込むと、まあ、どうにかなるか、という気分になってきた。

2007年7月23日月曜日

ペロポネソス島

僕の他に5人組の青年と、白い服を着たおばあさんがぺロポネソス島行きの船に乗っていた。

船は濃く青い海にクリームのような滑らかな泡を立てて、夕暮れの港へ向かう。

青年はしずかに、みんな違う方角をぼんやりと眺めデッキからの潮風を受けていた。

やがて、船は島へ着いた。

2007年4月1日日曜日

Life is beautiful

Life is beautiful

風の歌を聴け

会社員になってから、太陽の下で頭を空白にしてジリジリに身を焼いた覚えがない。

夏は他人のものになってしまったみたいにすぎていく。

2007年3月25日日曜日

ドルフィンホテル

秋が深まっていく札幌で、さびれたホテルに泊まり、おいしいご飯と映画を観ながら彼女とすごす徒労な時間。見つけるたいものを見つけないと、とてもマズイことになるのに、見つけ方がわからない。
しかし、彼女はその状況で、欠けてる何かにではなく、新たな出発と発見の可能性に思いを置く。

羊についての考察

群れに属さないと人は狂う。アルコールが孤独を助けるのも少しの間だけで、気が付いたら狂気に拍車をかける。自分の世界をもとうとも立ち向かえる世界は限りられていて、自分の中に閉じこもろうとしても、誰から突然と手紙が来るみたいに、どこかの世界にひきずりこまれる。誰かとつながることが簡単にできる人でも孤独を求めて冬の大地に向かう。そこで、孤独になると死んでしまう羊に出会う。羊でも周りとは違う羊に出会い、羊の力を手に入れると、世界を制覇できる。群れにからはずれるはずの羊が、唯一の羊である時、羊であることの存在と定義をくつがえしつつ、形而上は羊であることの矛盾が、その羊への渇望を駆り立てるのだ。それが、羊をめぐる冒険なのかもしれない。

2007年3月22日木曜日

村上春樹

 マッシュポテトとウィスキーで食欲を満たし、生活から隔離されないまでも、生活を忘れたい時に村上春樹の本を読む事にしている。安心できるものがある。メタファーを考える事でベッドにもぐりこんで、おろかなことをかんがえずゆっくりと眠りにつく事ができる。

ジャズがあるし、お酒があるし、孤独だが、孤立していない世界がある。

その世界に踏み込むと、私はのめり込まないし、感情移入もしないのだが、ため息をついて幸せがうばいとられていくような安堵感よりもよっぽどましな、肩の力のぬける思いがするのだ。